UXデザインセミナー 全5回のまとめ

UXデザインの知見と経験を得るのために、全5回のUXデザイン連続セミナーに参加しました。今回はセミナーの内容と課題、気付きをまとめます。

本記事は『あさぎデザインひとりAdvent Calendar 2019』の6日目のエントリーです。

過去のレポート

UXデザイン連続セミナー #1「実践的デプスインタビュー技法」 参加レポート UXデザイン連続セミナー #2「KA法による価値抽出・ペルソナデザイン法」 参加レポート UXデザイン連続セミナー #3「カスタマージャーニーマップとサービスブループリント」 参加レポート UXデザイン連続セミナー #4「キーモーメントの策定・プロトタイピング」 参加レポート

UXデザインセミナーで学びたかったこと

本業のWeb制作、アプリUIデザインに活かすためにこの講座を受講しました。上流工程を担当している方ともっと密に話ができるようになりたいという狙いもあります。

目標を達成できたかというと

  • 制作するWebサイト/アプリ開発に付加価値を与えたい。
  • 成果を出せるアウトプットをするための技術を身につけたい。
  • バラバラに勉強したワークショップなどの知識を体系化したい。

目標を達成できたかというと難しいところで、「わからないことがわかるようになった」というのが正直な感想です。やればやるほど理解の浅いところが見えてきます…。

もともとそれぞれの手法については単発のワークショップや関連書籍で知ってはいたのですが、今回のような一貫してサービス作りを行えるセミナーで「実際にどうやって使えば、よりよいサービスやプロダクトができるのか」ということを勉強するのが目的でした。ひとりデザイン事務所で全行程を取り入れるのはなかなか難しいので、日常的に使えるエッセンスを取り出すのが今後の課題です。

プロトタイプを制作するまで

今回の連続セミナーでは「キャリアを通した継続的な成長のためのソリューション」という課題が与えられ、グループワークを行いました。

デプスインタビュー

2人のインフォーマント(インタビューを受ける人)から聞き取った内容をもとに以降の作業を進めました。

実は自分がインタビューをする前に、別のグループのインフォーマント役をやらせていただきました。そこで気づいたのが以下の点。

  • 意外とぐいぐい来られても平気(そういう時間だとわかっているから)
  • ほどほどの合いの手は話し手としても助かる(ずっと会話のボールを持っていると意図せず話が脱線してしまうので)
  • インタビュアーの表情と身振り手振りは雰囲気づくりに重要

インフォーマントとしての経験は、インタビュアーとしても活きました。

KA法による価値抽出・ペルソナデザイン法

価値をグループ(価値群)別に分類している様子

インタビューから汲み取った内容をその人(インフォーマント)の属性に依らない「普遍的な価値」として抽出し、価値をグループ分けしました。

この「普遍的」が曲者で、抽象度が高く壮大すぎるとピントがぼける、具体的すぎても「価値」にならないというバランスを取るのが難しい作業でした。アシスタントの方にも「場数を踏むしかないですね!」とアドバイスをいただいたので、一朝一夕にはどうにもならないものと思うことにしました。

カスタマージャーニーマップ

模造紙2枚使ったカスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは作るだけで満足してしまいがちなので要注意ですね。「なんだか散漫なときは、重要そうなモーメント(時間軸の一部)を切り取って、そこをさらに掘り下げるといいですよ」というアドバイスをいただきました。

キーモーメントの策定

キーモーメント(重要な瞬間)からサービスを考えている様子

今回見つけるべきなのはキーモーメントの体験を最大化するアイデア

プロダクトやサービスがユーザーに影響を与えるのは利用している期間だけではないので、使用する前、使用した後のことも考えて進めました。

年間のスケジュールに合わせて使われるプロダクトなら、カスタマージャーニーマップ上の時間軸を(複数年)繰り返すことも考えなければいけないそうです。

アウトプット

発表資料の一部

アプリと製品を絡めたIoT的な提案をすることになりました。「見た目のプロトタイプ」としてプレゼン資料、「振る舞いのプロトタイプ」としてPC上で動くアプリのプロトタイプ、「状況のプロトタイプ」としてアクティング(寸劇で状況を表現する)を行うフルコースなプロトタイピングとプレゼンテーションで、とても勉強になりました。

キャッチーな題材を選んだのでそこのインパクトが強く、聞き手の目線が肝心のサービスではなくキャッチーな部分にのみ集中してしまったのは反省点でした。

わからないことに挑戦するのは大人だからこそ大切

Webデザイナーに限らず、同じ仕事を6、7年やっていると「まったく手が出ないこと」というのはかなり少なくなります

知識・技術が足りなすぎる案件を避けるためでもありますし、自分にできないことはできる人にお願いしてしまうからです。これは仕事をする上では大切だと思っています。(よくわからない人間がやった質の低いものを納めるわけにはいかないので)

ただ、今回は自分が生徒という立場でぼんやりとした知識しかないUXデザインの手法に挑戦しました。

正直に言えば、こんな上手くいかないものかとかなり落ち込んだりもしました。周りがある程度経験を積んでいたり、知識が豊富だったりする方ばかりだったのも大きいです。これは後々とても頼もしかったです。

スキルも知識も全然足りないことに気づけたのは、ある程度時間をかけてじっくり取り組んだからだと思います。自分にわかること・できることだけやっていてはスキルの切り売りなので、今回まったく素人の立場で勉強ができてとても貴重な経験でした。

明日から使えるツールに落とし込むのが宿題

これだけ時間をかけてUXリサーチができる受託案件にはなかなかお目にかかれないので、現在お手伝いさせていただいている規模の案件でもエッセンスだけでも活用できるようなツールを作っています。

ツール作成や今回のブログを書くために調べ直すと、セミナーでは扱わなかった技法や考え方にも触れることができたので、扱ったものだけにこだわらずに作業をしています。

UXデザインの手法を実践できるだけでなく、「知らないものへの向き合い方」も思い出すことができたので、(仕事の繁忙期と重なって途中とてもしんどかったんですが)連続セミナーに挑戦してみてよかったです。

イベント詳細:HCD-Net東海 UXデザイン連続セミナー(2019年)