白澤真生氏、佐藤ねじ氏によるスペシャル対談を聴いてきました

9月13日(土)に開催された「共に名古屋出身・名古屋と東京で活躍する 白澤真生氏(レンズアソシエイツ )、佐藤ねじ氏 (面白法人カヤック )によるスペシャル対談」を聴いてきました。

『自主制作のススメ』というテーマのもと、クリエイターとしての仕事と自主制作の二足の草鞋を履くことの意味と価値について面白いお話を聴けたので、印象深かったことをまとめます。

白澤真生さんと作品について

前半はグラフィックデザイナー白澤真生さんのお話でした。俳優の草刈正雄さんが草刈り機を振り回しているmakitaの広告と、カンヌライオンズを穫ったmother bookのエピソードがお仕事上のデザインワークとして紹介されました。自分自身が最近会社でちょっとした印刷物を作ったこともあり、後の質疑応答のときに教えていただいたmother bookの原価はちょっとびっくりしました。新しいモノを作るというのはとにもかくにもお金がかかるものなんですね。

個人制作では、『typo F』シャーマン展が取り上げられました。白澤さんの作品ではZINE関連の活動が気になっていたのですが、今回は時間が足らず聴けなかったのが残念です。

自主制作は「個性の可能性を追求する行為」

白澤さんにとっての自主制作とは、単に自分の好きなものを作るのではなく「自分らしさとは何か」を見つめ直すことだそうです。具体的なプロセスについても触れられていて、自分の中の好きなものを整理し、共通点を見出してテーマを決めることで自分らしさの芯が見えてくるということでした。
仕事を得るための『宣伝活動としての自主制作』だと思っていた部分が強かったので、「自分の表現を模索しているうちに人に実認められて仕事になる」という考え方はとても新鮮でした。なぜ表現を模索し続けるのかという質問への答えが「人に褒められたいから」というのも小気味よかったです。

「記憶に残るデザイナーでいられるかどうかに気をつけている」という言葉はデザイナーが生き残っていくために重要なキーワードではないかと感じました。

佐藤ねじさんと作品について

後半はアートディレクター佐藤ねじさんのお話でした。「アイデア×デザイン×演出」の合わせ技がお得意ということで、作品はインタラクティブなもの中心でした。

ニュースサイトなどで見かけたしゃべる名刺すごいWEBの誕生秘話なども面白かったのですが、一番興味深かったのが「たぶん世界最年少のクリエイティブディレクター」についてです。佐藤さんの当時1歳のお子さんがクリエイティブディレクターになり、WEBサイトを作るという企画を動画も交えてご紹介いただきました。ついつい成果物だけで見てしまいがちですが、サイトを作るプロセスも作品になるというのは目から鱗でした。

ブルーパドルという考え方

ブルーオーシャンとレッドオーシャンという言葉はマーケティング用語としてよく聞きますが、競合相手のいないマーケットなんて今時そう簡単には見つかりません。そこで佐藤さんが紹介されていたのが、混んでいる海の隙間を狙う「ブルーパドル(水たまり)」の考え方でした。混んでいる土俵では勝てなくても、自分ひとりの小さい土俵で一番になるというのは技術の変遷が激しいWEBでこそ活きる考え方ではないかと感じました。

個人制作を続ける理由

  • 東京と違うことをするため(これは名古屋の白澤さんから)
  • 実績をつくるため
  • 人と出会うため
  • フィードバックを得るため

最後は「仕事と制作を両立するスケジューリング」「20代の過ごし方」「目標の立て方」についての対談でした。その中でも一貫して自主制作との付き合い方がテーマになっていました。お二人のスケジューリングについては驚きでしたが、これだけで記事が一本書けてしまいそうなので今回は割愛します。展覧会や〆切があると(切羽詰まるとも言えますが)予定の運用がしやすいのは納得でした。

自主制作がしたくなる講演でした

勉強することがたくさんあるので入社一年は自分の作りたいものをセーブしよう!というのが4月に個人的に決めたルールでしたが、そろそろ半年経つので、自分の作れるもの・作れるようにならないといけないものの傾向を掴むためにも少しずつ自主制作に復帰してみてもいいのかなぁと思わされる講演でした。お話を聞いていて一番反省したのは、日々のスケジューリングの雑さだったので、まずはそこから見直してみます。